2015/05/23

学校からPTAへの個人情報の無断提供は真っ黒です(グレーではありません)

学校での個人情報保護条例違反に関連して、学校現場での法令遵守の義務に関連する主な法令を挙げます。

まとまっている例として、富山市のコンプライアンス・マニュアルである平成27年度 富山市教職員研修の手引き「道しるべ」より引用します。


  公務員として
教職員は、教育を通じて国民全体に奉仕する公務員であり、法令や条例によって、様様な義務が課せられている。また、労働基本権等の制約もある。一方で、公務の安定性や継続性、政治的中立性を確保するため、法令によって、公務員としての身分が守られている。 
(1)  公務員の身分と服務の監督  
  服務の監督  
公立学校の教職員は、地方公共団体の教育活動に従事する公務員であり、教職員 の勤務する学校を設置する地方公共団体の公務員である。したがって、富山市立学 校の教職員は市の公務員としての身分を有し、その服務は富山市教育委員会が監督する。 
 「富山市立学校管理規則」…学校の管理運営の基本的事項について定められている。   P89参照 
・学年、学期、休業日 ・教育活動 ・教材
・職員組織等 ・施設及び設備の管理 ・災害防止 等
 「富山市立学校職員の服務等に関する規程」…日常の服務の取扱いや具体的な 続きに関することについて定められている。 *P94参照  
・着任 ・住所等の変更 ・出勤及び外出
・時間外勤務命令等 ・出張 ・旅行の届出
・休暇 ・事務 ・事務引継 等
○任命権と給与負担
教育の機会均等を保障し、全国一定の教育水準の維持向上を図るために、任命、 職及び懲等にいての山県育委員会有してる。 、給与、費等も富山が負担しいる県費負担ただし、富山市立幼稚園・認定こども園の教職員の任命権は富山市教育委員会が 有し、給与、旅費等も富山市が負担している。  
(2)  公務員の職務
教職員は、公務員として、次のことを心がけなければならない。  
  全体の奉仕者  
て公奉仕者で、一の奉仕者ではない15条第2項)とあるように、公務員の根本原則は「全体の奉仕者」である。また、地方公法第30益のため務し、職務っては全力を挙げてこれに専念しなければならない」とされている。さらに、公務員の地位は住民の信託によるものであり、その成果は住民が受け取 のであそのたにもの思や声を真に受止めなればならない。  
  コンプライアンスの意識  
コンプライアンスは、一般的に「法令遵守」と訳されるが、法令だけでなく倫理ものも全含んでいらてい務員令を守するとを基本とし高い倫理観に基づいて行動しなければならない。  
  予算の適正な執行  
公務員は、納税者が負担した税金で雇用されている。また、学校運営を行う際も、その税金を活用している。このことを強く認識し、学校教育の充実を図るために、適正かつ能率的に職務を遂行しなければならない。
平成27年度 富山市教職員研修の手引き P.2


 

  教職員の服務 服務とは、公務員たる地位に基づき、職務上または職務外において公務員に課せられている規律に服する義務のことである。その根本基準として、憲法や法律で「公務員は 全体の奉仕者」であると示されている。次代の社会を形成する人間をはぐくむという大きな使命をもつ教職員には、おのずと一般の公務員より重い職責と義務を担うことが求められる。そのことを自覚し、子どもと保護者、地域から信頼される教職員としてある べき姿を目指していかなければならない。 教職員の服務義務には、以下のようなものがある。  
        (1)  職務上の義務 

 
     
服務の宣誓
地公法31
・条例の定めるところにより、服務の宣誓をしなければな らない。
法令等及
地公法32
・法令、条例、規則、規程、上司の職務上の命令に従わな
上司の職

ければならない。
上の命令
地教行法
・市町村、市町村教育委員会の条例、規則、規程、市町村
従う義務
43
教育委員会及び職務上の上司の職務上の命令に従わなけ
ればならない。
職務に専
地公法35
・勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行の
する義務
用いければらな律又は条例特別の定
めがある場合を除く)
・当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事
しなければならない。
 

(2)  身分上の義務 

 
     
信用失墜
地公法33
・職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるよ
為の禁止

うな行為をしてはならない。
地公法29
・懲戒処分(戒告、減給、停職、免職)
秘密を守
地公法34
・職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退
義務
地公法60
いた後も同様。
地教行法47
・罰則
政治的行
地公法36
・政党、政治団体への関与の禁止
の制限

・特定政党への政治的行為の禁止
教特法18
・地方公務員より厳しい政治的行為の制限(国公法102条、
人事院規則14条7)
争議行為
地公法37
・同盟罷業、怠業その他の争議行為、都道府県及び市町村
の禁止
地教行法47
の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはなら
ない。
営利企業
地公法38
・市町村教育委員会の許可を受けなければ、営利を目的と
の従事制限
教特法17
する私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しく
地教行法47
は事務にも従事してはならない。
法規の略称
「教基法」…教育基本法

「学校法施行規則」…学校教育法施行規則

「教特法」…教育公務員特例法
「地教行法」…地方教育行政の組織及び運営に関する法律

「国公法」…国家公務員法
「通勤手当規則」…富山県一般職の職員等の通勤手当に関する規則

「地公法」…地方公務員法
「地公災法」…地方公務員災害補償法

「労基法」…労働基準法
「給与条例」…富山県一般職の職員等の給与に関する条例
平成27年度 富山市教職員研修の手引き P.3


第5章校内の組織と実務の進め方

1 文書管理

情報化が進み、私たち教師は様々な文書や電子データ取り扱う。また、学校では個人情報を大量に扱う。これらの大量の情報を職場のルールに従って、きちんと整理し、管理していくことは重要なことである。特に、電子情報は記憶媒体を通して容易にやり取りできることから、その扱いにはより一層の慎重さが求められる。

(1) 公文書学校における公文書は、「教職員がその職務上作成した文書または職務上取得した文書」の全てをいう。中でも公簿と呼ばれる「法令の規定に基づいて作り、常に備えておく帳簿(法定表簿:学校教育法施行規則第28条)」がある。また、準公簿として「公簿を補助し、日ごろの教育活動を支えるための文書」がある。

(2) 文書の管理整理と保管文書管理は、事務の能率化や業務の継続性、情報公開への即時対応等の上で必要である。必要な情報をすぐに取り出すためにも、職場のルールに従った整理と保管を行う。特に、印字された文書や電子データ等は年々たまってくる。これも保管年数に従い、期限後はシュレッダーにかけるなど適切に廃棄する。

[文書整理のコツ]
・校務分掌ごとに整理する。・作業順(時系列)に番号をつける。・案件ごとに区分けする。・印字された文書はファイル等に綴じる。・年度ごとに区分する。・使い終わったらすぐ元に戻す。・校務分掌上の書類は、個人で保管や所持せず、決められた場所に保管する。・電子データも、印字された文書の整理ルールに従う。

(3) 個人情報の扱いと情報の漏洩防止個人情報とは、個人に関する情報であって、情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により「特定の個人を識別することができるもの」をいう。学校では膨大な個人情報を扱っている。子どもの安全を守る点からも、個人情報の慎重な管理・保護に努めなければならない。また、教職員は公務員であり、守秘義務がある。情報を意図的に漏らすことはあってはならない。取り扱いに関しては、一つの情報でも他の情報との組合せにより個人の特定につながる場合があるので、細心の注意を払わなければならない。

[気をつけること]
・校外学習等への児童生徒名簿の持ち出し・離席時の机上やパソコンの画面・子どもの顔が分かる写真の掲載(各種たより、HP等) ・子どもの家庭の話*次頁富山市立小中学校情報セキュリティー10の心得参照
 平成27年度 富山市教職員研修の手引き P.49


このように、地方公務員である教職員は、最低限のこととしてこれを遵守せねばならず。さらにこれに加えた形で個人情報保護条例も当然に遵守する必要があるのです。

学校の保有する個人情報を第三者であるPTAに無断で提供することは、何重にも法令に違反しているのです。

これらついては議論を待たず明確に黒です。

表現としてよく出てくる「個人情報保護について法令に抵触する恐れがある」というような曖昧な逃げ道表現はやめ、明確に法令違反であると指摘するよう皆様にお願いいたします。

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